琵琶製作実録

琵琶楽器製作の記事

古い碁盤から琵琶の胴面を作ります。「手づくりで挑戦!琵琶試作品 1」

seisaku_katadori2seisaku_katadori1 この年末年始、昨年仕入れていた古い碁盤などの古材を、西大路五条の三加和木材さんで琵琶の胴部分を作る板を製材してもらっていました。今回は大人用琵琶の80%の縮尺でかたどりし胴部分長さ約45cm、幅26cmの子供用の琵琶を試作してみます。

楽琵琶製作では、その場所に適した種類の木材を何種類も使って作ります。基本構造としては弦の音を跳ね返すお鉢にあたる胴の部分には木目が密になった硬い広葉樹を使います。広葉樹は変形が激しくその変形が少なくなった古材が理想です。古い時代の琵琶職人の手による琵琶には今日では入手できない貴重な正目材が使われました。

本来胴によく使われるのはサクラ、カツラ、クワなどですが、古い碁盤ではカヤやイチイが一般的で、木目のつまった硬い広葉樹に部類されます。

地元の原木を使って、こどもたちが弾ける琵琶を!「虫除け対策にはクヌギの皮むき」

seisaku_kawamukichuseisaku_kawamukigo4月5日に仰木の製材所「伊藤源」さんで製材してくださった際「雑木の樹皮はとても甘いので虫がつきやすく、皮剥きという専用の道具と木槌で、早めにはがしておいたほうがいい」とのアドバイスをいただきました。早速、6日(日)に東寺のがらくた市へ出かけ、古道具の木槌と皮剥きを手に入れました。その週の4月11,18日の(土)に早速使ってみることとしました。

4月5日(土)に製材した木材は四ノ宮の松村氏のアパートに間借りさせてもらっていました。

屋外に置いてあった全体の半分の材木を泉水町広場内へ持ち込み片側15分、一本30分のペースで皮を剥きました。11日は全く一人で取り組んだため運搬に時間がかかってしまいましたが、成果は5本ほど。18日は以前の同僚が午後から手伝ってくれ、運搬ともどもはかどりました!

地元の原木を使って、こどもたちが弾ける琵琶を!「伊藤源さんでクヌギ製材完了」

seisaku_zaimokuhakobiseisaku_seizaicyu 2014年4月5日、この日はNPO法人「みささぎの森」さんで伐採し、保管してくださっていたクヌギの原木を引き取りに行き、キャラバンの荷台に積んで、滋賀県大津の仰木まで2往復。

まずはとてつもなく重い原木を疏水に沿って200mほど荷台で運ぶ作業に大変苦労しました。

単発の細切れな製材を安く引き受けていただけるところがなかなか見つかりませんでしたが、大津雄琴の成安造形芸術大学の方からの紹介で、仰木にある「伊藤源」さんにお願いすることとなりました。それはそれは大きな大木が山ほど積まれた巨大な製材現場で、音と木の香りに圧倒されましたが、第二弾の木材を山科の疏水辺りまで取りに帰っている間に、巨大な帯ノコで、着々と進めてくださっていました。5年乾燥への第一歩がやっと踏み出せました。

地元の原木を使って、こどもたちが弾ける琵琶を!「誰でも弾ける四ノ宮琵琶作り」

 2014年1月12日、NPO法人「みささぎの森」さんで、敷地内の原生林を果樹園にするため、ナラやクヌギの大木を伐採するとの一報を得ました。弦楽ふるさとの会では、以前から、山科区内の小学校教材として安価で小さな「こども用の四ノ宮琵琶」を製作できないものかと思案中で、ネットで安い材木を探したりしていましたが、幹の直径が50cmを超えるものはとても高価で、こども用なら30〜40cmの直径でよいのですが、それでも値は張りました。

そんな折、区役所主催メーリングリスト「大好き!やましな魅力発信プラットフォーム」に天智天皇陵脇の疏水のほとりに広がる原生林の大木が伐採されるとの吉報、伐採後の予定を聴くと「テーブルを作ろうかと考えていたくらいで、そんなふうに使っていただけるのなら、無償でお譲りしますよ!」とのことでした。製材後5年乾燥をみての長期プロジェクトです。