2022年10月28日 山科区老人クラブ連合会 秋の会員研修会「四ノ宮の人康親王と小野小町」

 

毎年秋に東部文化会館にて研修会(ホール)と作品展(創造活動室)を開催されている老人クラブ連合会様ですが、コロナ禍で3年間滞っていたのを、今年は久しぶりに再開するとのことで、「山科四ノ宮の歴史」の講演と「四ノ宮琵琶」の演奏をオファーいただきました。

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2022年は872年に薨去されている人康親王1150年忌にあたる年でもあり、大きなホールでコンサートをさせていただける機会を得て、本当に有り難く、半年前から色々と準備を進め、本番は「琵琶と和歌」「弾き語り紙芝居」「映像と琵琶唄」と、バラエティに富んだ盛りだくさんな内容で、90分に及ぶ講演を行いました。

老人東部2

午後12時半に現地入りし、本番前のマイク配置やスポットライトの確認、この日のために製作調整したパワーポイント映像のタイムラグ確認など、会館スタッフのみなさま方にご尽力いただき、誠に心地よく1時間半のステージに臨むことができました。本当にありがとうございました。演目は以下の通りです。

●四ノ宮の解説10分

●和歌弾き語り(楽琵琶座奏)4曲

〜石庭流泉 せきていりゅうせん〜

『あかねども いわにぞかふる いろみえね こころをみせむ よしのなければ』

遣唐使の持ち帰った平安古曲「流泉」に在原業平の和歌を載せて 5分

石庭流泉

〜色破歌 いろはうた〜

『いろはにほへと ちりぬるを わがよたれぞ つねならむ ういのおくやま けふこえて あさきゆめみし えひもせすん』

思うところあれど散ってしまった出家の身…人康親王の心境に重ねて 5分

色破歌

〜長雨 ながめ〜

『はなのいろは うつりにけりないたづらに わがみよにふる なかめせしまに』

春の雨に舞い散る桜 天台宗の散華法要に唱えられる声明、十方念仏に載せて 5分

長雨

●大伴黒主と三井寺と人康親王の解説5分

老人東部1

〜桜花 さくらばな〜

『はるさめの ふるはなみたか さくらはな ちるをおしまぬ ひとしなければ』

親王の出家?死?を悲しむ小町の歌への励ましの意味がこもった優しい歌 5分

桜花

 

●和歌弾き語り(平家琵琶立奏)2曲

老人東部4

〜女郎花〜

『なにしおはは なほなつかしみ おみなへし おられにけりな われかなたてに』

小野小町が、誘いを断ったのには、幼い頃からの思い人が、、、人康親王? 5分

女郎花

 

〜悲しの宮〜

『四の皇子失せた給ひたる勤めて風吹くに

けさよりは かなしのみやの やまかせや またあふさかも あらしとおもへは』

小町が親王の死を悼む和歌を遣唐使が持ち帰った琵琶古曲「楊貴操」に載せて 5分

悲しの宮

●和歌弾き語り(楽琵琶座奏)1曲

〜幸盛 こうもり〜

『さちおおき みとぞしりけり やましなの いをりしずかに もれるつきがげ』

遣唐使が持ち帰ったびわ独奏の古曲 森の梢にこだまする小鳥の「啄木」の音色に載せて大石順教尼筆コウモリの絵に添えられた和歌を慎んで唱じ弾じます 5分

順教尼と勧修寺

 

●琵琶弾き語り紙芝居20分(四ノ宮琵琶立奏)

〜四ノ宮物語〜

盲目の琵琶法師と人康親王の絆の物語を琵琶弾き語りで 20分

老人東部3

 

●琵琶唄弾き語り(四ノ宮琵琶立奏)10分

〜山科千載記〜

山科にある多くの史跡の歴史を読み込んだ琵琶唄を映像付きで 10分

senzaikibonchi

 

雑感

2011年の春に山科五条通りのリサイクルショップ「タウンタウン」で古い琵琶のシャモジの部分を見つけ、東京の石田琵琶店さんに足らないパーツの製作と修理を依頼してから半年、2011年暮れの12月に無事楽器としてできあがってきました。シンプルながら、飽きることのない音色を奏でたいと「不飽月」と名付け、2012年から平安貴族に思いを馳せ、想像のままに弾じ始めました。1150年忌の演奏会と思っていましたが、よくよく計算してみれば、この2022年は、『琵琶をはじめて丁度10年』の節目でもありました。このような、機会を与えて下さった、老人クラブ連合会の北口昭彦様はじめ、皆々様、東部文化会館のスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。                 小谷四音 拝